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きんぞくにんげん
金属人間
海野 十三
「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页
検事は、しきりに小首をかしげている。
「検事さん。この部屋は密室と見せかけて、じつはどこかに秘密の出入口があるのではないでしょうか」
と、木村巡査部長はいった。
「そこから犯人は、いち早く逃げだしたという考えだね。そうなれば、早くその秘密の出入口を見つけてもらいたいものだ」
「いま一生けんめいに心あたりをさがしているんですが、まだ見つかりません。この家の主人が出てきたら、といただしていただくんですね。主人ならかならず知っているはずですから」
「なるほど」
「検事さん。ここの主人は、どうもくさいですよ。わたしは第六感でそう感じているんですが……」
といっているとき、とつぜん室内で大きな声がした。
「あっ、やられたッ。誰か手をかしてくれ。足を斬られた」
その叫び声は、ふとった川内警部の声だった。警部は部屋の一隅にしりもちをつき、右足をおさえている。かれの顔には血の色がなかった。どうしたのだろう。誰に斬られたというのであろうか。
二重負傷事件
川内警部の両手は、鮮血でまっ赤だった。
後からわかったことであるが、警部の傷はかれの右足のすこし上にある動脈が、するどい刃物で、すぱりと斬られているのだった。