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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

の率は、万人に平等である。その当せん率のあまりにも低いことを知って、万人は宝くじを買うことをやめるはずになっている。その確率の法則を作った学者や、それを信奉する後続の学究学徒の推論によれば……。

だが、事実はそうでなくて、宝くじがさかんに売れている。それはなぜであろうか。それは、とにかく事実一等にあたって二十万円とか百万円とかの賞金をつかむ人が、毎回十人とか二十人とか、ちゃんと実在するので、自分もそのひとりになれないこともないのだと、さてこそ宝くじを買いこむのである。

その人たちの感じでは、当せん率は、確率の法則が算定してくれる率よりも、何百倍か何千倍か、ずっと多いように感ずる。これはいったいなぜであろうか。

一言でいうと、世の中の人々は、確率論をまもる学者よりは、ずっと正しく、運命を理解しているからだ。すなわち運命がおどけ者であるということを、わきまえているのである。とうぜんとっぴょうしもない出来事をおこさせるおどけ者の運命は、案外わたくしたちの身近に、うろうろしているのだ。奇蹟といわれるものは、案外たびたび起こるもので、わたくの感じでは、一カ月にいっぺんずつぐらいの割合で、奇蹟がおこっているのでないかと思う。