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きんぞくにんげん
金属人間
海野 十三
「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页
それを聞いていた川内警部は、口のあたりをあなどりの笑みにゆがめて、
(ふん、邪宗教の連中が、いつも使うおどかしの一手だ、なにが神秘だ。わらわせる)
と、心の中でけいべつした。
「なんです、生まれ出ようとしている荘厳神秘のあるじというのは……」
検事は、顔をしかめて、博士を追う。
「生命と思考力とをもった特別の細胞が、人間の手でつくられようとしているのだ。もしこれに成功すれば、人間は神の子を作ることができる」
博士は、わけのわからないことをつぶやく。
「カエルの脳髄を切りとって、それを他の動物にうつしうえることですか」
検事は、一世一代の生命科学の質問をこころみる。
「そんなことはいぜんから行われている。ぼくが研究していることは、すでに存在する生命を、他のものに移し植えることではない。生命を新しくこしらえることだ。生命の創造だ。細胞の分裂による生命の誕生とはちがうのだ。それは神が、神の子をつくりたもうのだ。それではない、この場合は、人間の意志のもと、人間の設計によって、新しい生命を創造するのだ。ローマの詩人科学者ルリレチウスの予言したことは、二千年を経たいま、わが手によって実現されるのだ。