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きんぞくにんげん
金属人間
海野 十三
「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页
部屋のまん中に、箱がたのテーブルがひとつおいてある。そしてその上に、ガラスでつくった標本入れの箱が一つのっている。
これだけの、べつに目をうばうほどの品物も見あたらない部屋だったが、気味のわるいのは、この部屋の赤や黄を欠く照明と防音装置だった。それにあとで検事たちも気がついたことだが、気圧がかなり低かった、係官のなかには、鼓膜がへんになって、頭を振っている者もあった。
博士は、係官を手まねきして、陳列棚の前を一巡した。
陳列棚のうちそのドアが開かれて、壁の中におし入れてあるものは、ガラス容器が見られた。検事や警部は、前へ進んで、一生けんめいにその中をのぞきこんだ。
ふたりは、目を見あわせた。
ガラス箱の中には、下の方にかたまったゼラチンのようなものが、三センチほどの厚さで平らな面を作っており、その上に、つやのある毛よりも細い金属線らしいものがひとつかみほど、のせてあった。
(何でしょうか)
(何だかわからないねえ)
警部と検事とは、目だけでそんなことをかたりあった。
それに類するものが、他のガラス箱の中でも見られた。
警部は検事に耳うちをした。それから警部は針目博士を手まねいた。