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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

検事は、目をとじた。そして無言だ。

「そう考えると、針目博士邸における三つの殺人傷害事件も、かんたんに答が出てしまうのですがねえ。どうです検事さん。このおとぎばなしを採用なさったらどうですか」

検事が、やっと目をあけた。かれは、エンピツのおしりで書類のうえをぴしりとうった。

「だめだ。いくら答がうまく出ようと、仮定のうえに立つ答は、ほんとの答とはいえない。金属Qがはたして谷間三根子を殺したか、川内君を斬り、田口巡査を斬ったか。そのところの証明ができないかぎり、その答を採用するわけにはいかん。まさか検事が全文おとぎばなしの論告はおこなえない」

そうはいったが、検事も「もし犯人が金属Qならば」の仮定をおいて、答がずばりとでるその明快さには、心をうごかされているようすであった。

蜂矢はかるくうなずいた。その仮定さえ証明できれば、検事も了解すると見てとったからである。

「さあ、その仮定が真なりという証明ですが、これは針目博士に会って聞けば、一番はっきりするんです。しかし困ったことに針目博士は姿を消してしまった」

「針目は死んだと思うか、それとも生きていると思うか、どっちです」