轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きんざんそうわ
金山揷話
大鹿 卓
「中央公論」1939(昭和14)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,736 字 · 22 页
温泉へ療養にきている彼等の、朝の散歩らしかった。なかには明かに跛をひいている者もいた。それと気がつくと、私はながく見ていられなくなり、心の裡が刺すような痛みを覚えると共になにか苛々してきた。自分に戦争を忘れていた時間があったと、思い知らされた気持だった。
夜は札幌在住の同窓達が集って、森山、土田、私と、三人のために一夕の宴を設けてくれるとの事で、札幌へ引き返してそれに出席した。相会する者十余人、いずれも何等か鉱山と関係のふかい仕事をしている人達だった。
次の日は、古平の山奥で鉱山長をしている石原から、わざわざ私達に会いに出てくるという通知があって、また滞在を一日延した。私達は石原の札幌着を待って、四人は或る旗亭で痛飲深更に及んだ。
その夜私は森山とは別々に、土田や石原の定宿へ来て泊り、翌朝いよいよ森山と北見へ出発するために、雨のなかを私一人で停車場へかけつけた。森山は一目で鉱山の者とわかるいでたちで駅頭に佇み、私を待ち侘び顔だった。
「さア、これから先は万事おれに委せといてくれ」
森山はそういって、私に青い切符を手渡した。私はぐッと胸に迫ってくるものを堪え、黙ってそれを握った。