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きんざんそうわ

金山揷話

大鹿 卓

「中央公論」1939(昭和14)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,736 字 · 22 页

青空文庫

私は『キユウヨウサツポロニキタエキマエ××リヨカンニテマツ』という森山の電報を受けとっていた。それで土田も共に、今その札幌へむかう途中だった。私は森山が待っていると思って、何か心急がれていた。

「そうそう、去年の暮、それもぐッと押しつまった三十日だった。僕は十日ばかり北海道へ来ていて東京へのかえり途だったが、長万部の駅で偶然森山君や中野君と落ち合ったよ」

土田は窓を掠める雪景色から私の方へ目を移して、煙草で荒れた舌を気にするような口つきをしながらそんなことを云いだした。

私達は今度の同行で、車中ずっと、昔の同窓達のうえに起きたさまざまな変化について語り合ってきた。秋田鉱山専門学校の同じ寄宿舎で寝起きしたのは、もう十数年の昔になる。そのながい星霜は、互に学生時分には思いも設けなかった厳しさで、私達はそれぞれをそれぞれの行路へと追い立てて来た。私達の卒業は同時にまた、欧洲大戦後の鉱業界不況の真只中へ放り出された事だった。ながい不況時代のあとに来た満洲事変は、私達仲間の位置や境遇をも、箱の中のものをひと搖りするように変動させた。ついで今度の事変はさらに大きな変動を彼等のうえに齎しつつあるように思われる。