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きんざんそうわ

金山揷話

大鹿 卓

「中央公論」1939(昭和14)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,736 字 · 22 页

青空文庫

ハハハ……」

私は、そうした旅空で旧友相会した時の、なにか人生の深遠さの偲ばれるようなこころ愉しさを思いやりながら、窓外へ目を移した。雪はなお降りつづけていた。土田はまた煙草に火をつけて、言葉を継いだ。

「そのとき市岡の奴がね。発車間際になって、小野さんに宜しく頼んどいてくれって頻りにそういうんだ。僕はたいがい鉱区の事だろうとのみ込んで、うんうんと空返事をして別れたが、あとで中野君にきくと、この年末の数日を、釧路くんだり迄ただ山の中を引張り廻されに行ったようなものだ。全く市岡にはひどい目に会ったとこぼしていた。――それはこういう話なんだ。夏のころ市岡が大阪の中野君の事務所へ訪ねて来たことがあって、これこれの硫化の鉱山があるから是非どこかへはめ込んでくれという事だった。その後、中野君も何とかしてやろうと思いながら忘れていたが、ちょうど硫化の鉱山を欲しいという人が出てきたので、市岡を思い出して問い合せると、案内するから見に来いといって来た。中野君も市岡の人間を知っていたし、出発にあたって不安な予感がしたから、本当に自分で調査した鉱山か、と電報で念を押してやった。