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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

04 槍祭夏の夜話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,085 字 · 21 页

青空文庫

「仏を背負って風食ったのか。」

藤吉はむっくり起き上った。

「へえ、死んでもお上にゃあ渡さねえてんで。」

「なるほどな、ありそうなこった。」

つくねんと腕組した藤吉、

「だがしかし家財道具まで引っ浚えてのどろんたあ――?」

「ちと腑に落ちやせんね。」彦兵衛が引き取る。「なんぼ朱総が嫌えだっていわば蝉の脱殻だ、そいつを担いで突っ走るがものもあるめえに。」

「のう常さん。」藤吉はにやりと笑って、「死んだと見せて実のところ、なんて寸法じゃあるめえのう、え、おう?」

が、相応巧者な三吉が腕利きの乾児を励まして裏返したり小突いたり、長いこと心の臓に耳を当てたりしたあげく、とど遺骸と見極めたのだから、よもやそこらに抜かりはあるまい、常吉はこう言い張った。

「姐御ってのが食わせ物さね。しかし親分、いい女だったってますぜ。」と見て来たように、「お前さんの前だが、沈魚落雁閉月羞花、へっへ、卍って野郎も考えて見りゃあ悪党冥利の果報者――ほい、えらく油あ売りやした。」

しゃべるだけしゃべってしまうと、何ぞ用事でも思い出したか、ぴょこりと一つおじぎをしてに組はさっさと座を立った。

後に残った藤吉、彦兵衛と顔が会うと苦り切って呟いた。