轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

07 怪談抜地獄

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,998 字 · 32 页

青空文庫

宅を申せ、見送り届けるであろう。住居はどこじゃ?」

青くなって伝二郎は震え上った。一難去ってまた一難とはこのことかと、黙ったまま彼は頷垂れていた。

「迷惑と見えるの。」

と、侍は察したらしかった。

「なんの、なんの、迷惑どころか願ったりかなったりではござりまするが、危いところを助けて戴きましたその上に、またそのような御鴻恩に預りましては――。」

「後が剣呑じゃと申すのか、はっはっは。」

「いえ、」と、今は伝二郎も酒の酔いはどこかへ飛んでしまって、「それでは、手前どもが心苦しい到りでございまするで、へい。」

「ま、気をつけて行くがよい。身共もそろそろまいるといたそう。町人、さらばじゃ。」

言い捨てて侍は歩き出した。気がついたように伝二郎は二、三歩跡を追った。

「お侍さまえ、もし、旦那さま。」

「何じゃ?」

懐手のまま悠然と振り返った。その堂々たる男振りにまたしても逡巡となって、

「お名前とお住宅とをなにとぞ――。」

と伝二郎は言い渋った。

侍は上を向いて笑った。

「無用じゃ。」

と一言残して歩みを続ける。伝二郎は泥跳を上げて縋りついた。

「でもござりましょうが、それでは、手前どもの気が済みません。