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『はちのこ』から『ごちゅうあん』まで
『鉢の子』から『其中庵』まで
種田 山頭火
「「三八九」復活第四集」1932(昭和7)年12月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,548 字 · 10 页
私は雑木が好きだ。この頃の櫨の葉のうつくしさはどうだ。夜ふけて、そこはかとなく散る木の葉の音、おりおり思いだしたように落ちる木の実の音、それに聴き入るとき、私は御仏の声を感じる。
雨のふる日はよい。しぐれする夜のなごやかさは物臭な私に粥を煮させる。
風もわるくない。もう凩らしい風が吹いている。寝覚の一人をめぐって、風はどこから来てどこへ行くのか。さみしいといえば人間そのものがさみしいのだ。さみしがらせよとうたった詩人もあるではないか。私はさみしさがなくなることを求めない。むしろ、さみしいからこそ生きている、生きていられるのである。
ふるさとはからたちの実となつてゐる
そのからたちの実に、私は私を観る。そして私の生活を考える。
雨ふるふるさとはなつかしい。はだしであるいていると、蹠の感触が少年の夢をよびかえす。そこに白髪の感傷家がさまようているとは。――
あめふるふるさとははだしであるく
最後に私は、川棚で出来た句『花いばら、ここの土とならうよ』の花いばらを茶の花におきかえなければならなくなったことを書き添えよう。そして、もう一句、最も新らしい一句を書き添えなければなるまい。