轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

に、さんば――じゅうに、さんば

鏡花短篇集

泉 鏡花

泉鏡花『鏡花短篇集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二、三羽――十二、三羽、薬草取。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,305 字 · 66 页

青空文庫

」

「一度あるです。」

「まあ。」

「確に美女ヶ原というそれでしょうな、何でも躑躅や椿、菊も藤も、原一面に咲いていたと覚えています。けれども土地の名どころじゃない、方角さえ、何処が何だか全然夢中。

今だってやっぱり、私は同一この国の者なんですが、その時は何為か家を出て一月余、山へ入って、かれこれ、何でも生れてから死ぬまでの半分はって、漸々其処を見たように思うですが。」

高坂は語りつつも、長途に苦み、雨露に曝された当時を思い起すに付け、今も、気弱り、神疲れて、ここに深山に塵一つ、心に懸らぬ折ながら、なおかつ垂々と背に汗。

糸のような一条路、背後へ声を運ぶのに、力を要した所為もあり、薬王品を胸に抱き、杖を持った手に帽を脱ぐと、清き額を拭うのであった。

それと見る目も敏く、

「もし、御案内がてら、あの、私がお前へ参りましょう。どうぞ、その方がお話も承りようございますから。」

一議に及ばず、草鞋を上げて、道を左へ片避けた、足の底へ、草の根が柔に、葉末は脛を隠したが、裾を引く荊もなく、天地閑に、虫の羽音も聞えぬ。

三

「御免なさいまし。」

と花売は、袂に留めた花片を惜やはらはら、袖を胸に引合せ、身を細くして、高坂の体を横に擦抜けたその片足も葎の中、路はさばかり狭いのである。