轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

に、さんば――じゅうに、さんば

鏡花短篇集

泉 鏡花

泉鏡花『鏡花短篇集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二、三羽――十二、三羽、薬草取。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,305 字 · 66 页

青空文庫

「さあ、お話に紛れて遅く来ましたから、もうお月様が見えましょう。それまでにどうぞ手伝って花籠に摘んで下さいまし。」

と男を頼るように言われたけれども、高坂はかえって唯々として、あたかも神に事うるが如く、左に菊を折り、右に牡丹を折り、前に桔梗を摘み、後に朝顔を手繰って、再び、鈴見の橋、鳴子の渡、畷の夕立、黒婆の生豆腐、白姥の焼茄子、牛車の天女、湯宿の月、山路の利鎌、賊の住家、戸室口の別を繰返して語りつつ、やがて一巡した時、花籠は美しく満たされたのである。

すると籠は、花ながら花の中に埋もれて消えた。

月影が射したから、伏拝んで、心を籠めて、透かし透かし見たけれども、したけれども、見遣ったけれども、ものの薫に形あって仄に幻かと見ゆるばかり、雲も雪も紫も偏に夜の色に紛るるのみ。

殆ど絶望して倒れようとした時、思い懸けず見ると、肩を並べて斉しく手を合せてすらりと立った、その黒髪の花唯一輪、紅なりけり月の光に。

高坂がその足許に平伏したのは言うまでもなかった。

その時肩を落して、美女が手を取ると、取られて膝をずらして縋着いて、その帯のあたりに面を上げたのを、月を浴びて長けた、優しい顔で熟と見て、少し頬を傾けると、髪がそちらへはらはらとなるのを、密と押える手に、簪を抜いて、戦く医学生の襟に挟んで、恍惚したが、瞳が動き