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しっぽうのはしら
鏡花短編集
泉 鏡花
泉鏡花『鏡花短編集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:七宝の柱、若菜のうち、栃の実。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,632 字 · 32 页
謹んで、辞して、天界一叢の雲を下りた。
階を下りざまに、見返ると、外囲の天井裏に蜘蛛の巣がかかって、風に軽く吹かれながら、きらきらと輝くのを、不思議なる塵よ、と見れば、一粒の金粉の落ちて輝くのであった。
さて経蔵を見よ。また弥が上に可懐い。
羽目には、天女――迦陵頻伽が髣髴として舞いつつ、かなでつつ浮出ている。影をうけた束、貫の材は、鈴と草の花の玉の螺鈿である。
漆塗、金の八角の台座には、本尊、文珠師利、朱の獅子に騎しておわします。獅子の眼は爛々として、赫と真赤な口を開けた、青い毛の部厚な横顔が視られるが、ずずッと足を挙げそうな構えである。右にこの轡を取って、ちょっと振向いて、菩薩にものを言いそうなのが優玉、左に一匣を捧げたのは善哉童子。この両側左右の背後に、浄名居士と、仏陀波利が一は払子を振り、一は錫杖に一軸を結んだのを肩にかつぐように杖いて立つ。額も、目も、眉も、そのいずれも莞爾莞爾として、文珠も微笑んでまします。第一獅子が笑う、獅子が。
この須弥壇を左に、一架を高く設けて、ここに、紺紙金泥の一巻を半ば開いて捧げてある。見返しは金泥銀泥で、本経の図解を描く。