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かねにちぬる
鐘に釁る
寺田 寅彦
「応用物理」1933(昭和8)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,989 字 · 4 页
しかし他の多くのよく知られた実験の結果から推定してたぶん間違いないであろうと思われる。
割れ目があまり大きくては困るが、しかし必ずしも 10-8 や 10-7 でなくてもミクロン程度のものならば、その間隙を液体で充填することによって割れ目の面における音波の反射をかなりまで防止し従って鐘の正常な定常振動を回復することができるであろうと考えられる。もっとも割れ目の空隙が厚くなるほど、これを充填した血液の水分は蒸発し、有機物は次第に分解変化して効力を失うであろうから、やはり目に見えない程度の分子的な割れ目に対して最も効力を発揮するであろうと考えられる。
以上のスペキュレーションが多少でも事実に該当するとした時に血液成分中に含まれるいかなる成分が最も有効であるかという問題が起こるが、多くの場合から類推すると、おそらく膠のようなものや脂酸のようなもので COOH 根を有するものが最も有効であろうと考えられる。
Lubrication に関して油の oiliness と称するものがこの場合の問題に密接な関係をもつであろうと思われる。この減摩油の効力を規定する因子としての oiliness は、ある学者の説では炭水素連鎖の屈撓性、あるいは連鎖が界面に横臥しうる性質と関連しているとのことであるが、現在の場合でも連鎖が屈伸