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「てつ」のじのこたいとこだいのぶんか
「鐵」の字の古体と古代の文化
喜田 貞吉
「民族と歴史 第一巻第三号」1919(大正8)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,707 字 · 4 页
この機会をもって、自分は一言懺悔せねばならぬことがある。
たしか一昨年のころのことと思う。今の北野神社の宮司、当時は国学院大学長の山田〔(新一郎)〕法学士が、日本歴史地理学会で、日本においては銅器よりも、鉄の製造が前に発達したとのことを、長々と述べられたことがあった。当時自分は、わが考古学界に古鏡の研究が盛んになって、わが古代の鏡は、シナ伝来の漢鏡で、その以前のものはないとのことが、黙々の間に承認されそうな形勢であったので、それに対するある意味の防禦線ではなかろうかと考えた。したがって、はなはだ失礼ながら、その学説に対しても、深く耳を傾けようとはしなかった。もとよりこれについて、口頭でも、また文字をもってでも、あえて反対意見を発表したのではなく、ただ批評を求められたについて、われらと研究方法が違うとのことを述べたに過ぎなかったから、別に自分に責任を生じた訳ではないが、その後さらに研究を重ね、ことに冶金専攻の斎藤〔(大吉)〕工学博士の教えを受くるに及んで、少くもわが太古において、シナ伝来の青銅器製作法とは別に、鉄器製造の技術の発達を承認せざるを得なくなった。