轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いんえいらいさん
陰翳礼讃
谷崎 潤一郎
「経済往来」1933(昭和8)年12月号、1934(昭和9)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,020 字 · 61 页
私はそれを読んで急に石山行きを止めてしまった。拡声器も困り物だが、そう云う風ではきっとあの山の方々に電燈やイルミネーションを飾り、賑々しく景気を附けてはいないかと思ったからである。前にも私はそれで月見をフイにした覚えがあるのは、或る年の十五夜に須磨寺の池へ舟を浮かべてみようと思い、同勢を集め重詰めを持ち寄って繰り出してみると、あの池のぐるりを五色の電飾が花やかに取り巻いていて、月はあれどもなきが如くなのであった。それやこれやを考えると、どうも近頃のわれ/\は電燈に麻痺して、照明の過剰から起る不便と云うことに対しては案外無感覚になっているらしい。お月見の場合なんかはまあ孰方でもいゝけれども、待合、料理屋、旅館、ホテルなどが、一体に電燈を浪費し過ぎる。それも客寄せのために幾らか必要であろうけれども、夏など、まだ明るいうちから点燈するのは無駄である以上に暑くもある。私は夏は何処へ行ってもこれで弱らせられる。外が涼しいのに座敷の中が馬鹿に暑いのは、殆ど十が十まで電力が強過ぎるか電球が多過ぎるかのせいであって、試しに一部分を消してみると俄かにすうっとするのだが、客も主人も一向それに気が付かないのが不思議でならない。