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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
在线阅读吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 页
ただどうして特に、厳島文化財のすべてが、こんなに保存が完全なのか。「信仰の島」という特殊条件の地の理や、代々の神職の努力は、門外漢にも、すぐ考えられる。けれど田島氏の話では、それでもなお、平家納経の十六巻が、鎌倉時代に一度、熊野三郎という盗賊に盗まれて、行方不明になったこともあり、厳島合戦もあったり、維新の廃仏毀釈騒ぎもあったり、島の条件は決して、世間の例外でもなかったという。
だが、維新の廃仏騒ぎには、宮司の機転で、宝物の全部を、紅葉谷の校倉に深く隠蔽して、あの全国的な災害から、危うくのがれたものだとある。
また戦国時代初期の――厳島合戦のさいにも、ひとつの僥倖があった。両軍のあいだに、厳島神社の周辺を、平和地区と規定する条約が交換されたのである。社殿、多宝塔、附近の民家には、一切火を放たないこと、軍勢を入れないことなどの申し合せであった。
両軍というのは、主すじの大内義隆を殺した陶晴賢の反乱軍と、一方は、「主のとむらい合戦」をとなえて起った毛利元就の軍である。
弘治元年の九月。陶軍は、兵二万余、船五百余艘で、島へわたり、塔ヶ岡を本陣とし、元就の一家臣が守っていた有ノ浦の小城(今の連絡汽艇のつく桟橋附近の山)を取ろうとしたものである。