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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

半丁場は引っかえしになる。彼はそこをびっこひきひき歩くことにした。歩いた方が、芝居になると思ったのではない。歩きながらなおよく案をねろうと思ったまでだ。ここのところ何度かきている町はもうなじみになり、近道もおぼえていた。夏樹のおかげでもある。バスの通る大通りをさけて、それに沿った小道をとった。小石がごろついてびっこの足につらくあたる。いつも子供らの遊び場らしい神社のわきまでくると、戦争ごっこの遺留品だろうか、ちょうどつえによい棒切れが落ちていて、あたりに子供はいない。拾って身をよせると、わずかな棒切れがびっこの足をなぐさめた。彼はひょいと子供の時のことを思い出した。けんかに弱かった賢一という朋輩が、力の強い徳蔵のみけんをわったことを思い出した。きのうのような近い記憶で、半世紀も昔のそんなことを思い出したことで、彼は思わず額に手をやった。もういたみはないが、右のほお骨からおでこにかけての傷あとはまだひきつれている。

――この傷も、きょうは一役か――

そう思ったとき、どっかから急に現れた子供の一団の中から、ひとりだけがかけ出してきた。

「兵六、おじちゃーん。