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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
その所帯道具を途中で買って、忘れていったんだよきっと。そう思わない。」
文吉に意見を求めると、
「そうだ、ろうな。今日のところはそういうことで安心さしてもらおうや。この上おまわりさんまできて、ひきずり回されるなんて、もうごめんだよ。」
ふと気がつくと、夏樹がしくしく泣いている。
夏樹は動てんしたのだ。ヒミツカにピストルをかくしたことだけでも相当気がとがめていたのに、話はだんだんこぐらかってどろぼう問題となり、はてはおまわりさんのことまでがとび出してみると、こわくなったのだ。といって、どこから話をほぐしていっていいのか、見当もつかない。
「どうしたの。ね、いってごらん。」
安江になだめられると、彼の泣声は大きくなり、
「だって、おこるんだもん。」
「おこらないわよ。おこらないからいってごらん。」
「おこるウ おこるウ こわい顔してるんだもん。」
彼はちらりと音枝をみた。音枝はそれで思い出し、
「あ、ヒミツカでしょう。なにかかくしたな。泣くとこみると、よっぽどわるいことね。みてくるから。」
「いやだア ぼくがとってくるウ。」
夏樹は地だんだをふんで泣いた。
「じゃあ、おかあちゃんがついてってあげるね。