轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

」

さっさと帰りかけた。せめてすしでもとるからと兵六夫人は引きとめようとしたが、それもふりきって出てゆくと、追っかけてきて小さな紙包みをおしめ袋の中へ突っ込んだ。電車をおりてからあけてみると、人絹の半えりだった。安江はふん、というように口をとがらせた。

「ねえ、文吉つぁん、きょうからこの子のこと、わたしが産んだ子だと思ってね。」

「どういう意味かね。」

「わたしが産んだ子なら、だれもミルク代はくれないってこと。」

「ふーん。そのかわり乳が出るだろう。」

「母親は栄養不良でオッパイが出ないのよ。」

「へーえ。いろいろ都合がいいね。」

「そうなの。ふところ都合は悪いけれど、わたしもかせぐ。」

こんな次第で音枝は安江たちの家の子になった。生後一年まではだまっていても二十円ずつは送ってきたが、それを過ぎると乳離れしたと思ったのかとだえてしまった。それでもはじめのうちは盆暮ごとに兵六さんの妻がやってきて、音枝の着るものを一枚と、安江には店の品らしい帯じめだの化粧水などを添えてあいさつにきたが、それが長坂からのつけ届けなのかどうかはお互いに聞きもいいもしなかった。それも三年目ぐらいからはこなくなった。