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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
あんまりかわいそうじゃないの。――ね、も一度、私が産んだと思ってね。」
「いいよ。仕方がない。名つけ親だからな。そこへゆくと、これみろよ。」
音枝の戸籍抄本なのだ。父長坂幸一母伊志長女と、そこにはしるされていた。
「なんでしょうね。両親ともちゃんと結婚してるじゃないの。」
「別に生母があるんだよきっと。」
「ふーん。そしてここにも育ての親がいる。」
気がつくととなりの部屋ではさっきから音枝が子もり歌をうたっていた。
ねんねしゃっしゃりまーせ
あしたおきなさりませ……
いつも歌っていた安江の子もり歌の少しばかり替歌なのだった。
その夜安江は小豆飯をたこうと思った。何となくあずき飯がたきたかったのだ。音枝をつれて、冬太郎をおぶって市場へ出かけると、母のそんな姿がうれしいらしく音枝は上きげんだった。久しぶりのせいもあった。急に弟ができてもしかしたらひがむのではないかと案じたことも、思いすごしだったとほっとしながら、安江は、
「ね音枝ちゃん、冬太郎ちゃんはおかあさんが死んじゃったのよ。かわいそうでしょ。だから、みんなでかわいがってあげましょうね。きょうから音枝ちゃんは、おねえちゃんなのよ。