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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

結局兵六さんとの話合いがつくまでということで荷物を入れさせた。完全に安江の負けである。彼女は音枝にあたりちらした。

「お前がふわふわといいかげんなこといったんだろ! 干パンぐらいに目がくれてさ!」

兵六さんはなかなかやってこなかった。

「おっつけられるよ、また。」

文吉が大っぴらに顔をしかめる。

「押しつけられたりしないわよ、ぜったいに。だからわたし、はじめっからあの子にいったのよ。鷲さんがくれば引あげてもらうから荷物ひろげないでくださいって。そこらへなべかまをならべられたら、権利みたいなもの与えることになりますからね。でも、夜具だけは仕方がなかったわ。おばさん、ふとんどないしましょうって聞かれると、まさかふとんなしでいすの上にねてくださいともいえないでしょ。」

斎木少年にあてがった部屋は玄関わきの応接間の四畳半だった。そこならドアをしめれば一応の隔てが出来、こちらの声もきこえないはずだった。安江はすぐいいわたした。

「わたしのとこは鷲さんのようにやみで米が買える身分じゃないんですの。薄情なようですけど、食事は外でしてくださいね。外食券、もってらっしゃる?」