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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
それ、待ちましょうよ。おたがいに同郷で結ばれた間がらですもの、素知らぬ顔してるわけにはいかないんですからね。」
だが鷲兵六からは、なかなか移転通知が来ず、七年たってしまった。七年目に、ながのごぶさたのわびとともに居どころをしらせてきたのは、ごく最近である。不思議なことに、安江の家の家族がひとりふえていた。浜子だ。安江は感きわまった声でそのハガキから目をはなさずに、
「田端だって。脇村方っていうんだから、へや借りなんだろうね。しかし、まったく妙な話だわ。あの人が現れるとうちの家族に異動があるのね。縁もゆかりもない浜ちゃんにまで、たとえハガキにしろ、ちゃんとくるじゃないの。気味が悪いね。」
「二三ちゃんなんて、どうしてるんでしょうね。」
と、音枝は娘らしくそれも気になるらしい。
「しゃきしゃきしてたから、もう結婚でもしたろうよ。もしかしたら、その婿さんかもしれないよ、この脇村ってのは。ま、こうしてたよりがあったんだから、今に現れるよ。」
そして、案の定現れた兵六さんは、尾羽うちからした姿で、しかも今度は自分自身を持ちこんできた様子だった。もう居まいと思ったらしい進君がまだいたことで、彼は頭をかかえた。