轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

「そりゃあ、なんかの時には貸しますがね。浜ちゃんも……」

お給金を少しずつでもためて身に合ったのを作りなさいといおうとしたのに、浜子はいきなりとびついてきて、

「うれし、うれし、わたし、おねえさんていうわ。かしてねおねえさん。約束。」

いやおうなしにげんまんをしてしまった。そしてその翌日、

「おねえさん、浜子、おねがいなんだけど。」

例の甘ったれ声でしなだれかかってきた。

「なによ。気持が悪い。はっきりおっしゃいよ。」

「ね、スーツ。」

まだ音枝がそれを着て一度も出かけたことのないスーツを、浜子は貸せという。音枝はただあきれて、しばらくだまったまま浜子の顔をみていた。うんというのも業腹だし、といってはっきりいやともいいかねる。もたもたしているそんな気もちにおかまいなく浜子は、

「ね、貸してくれるっていったじゃないの。」

浜子はきょうの定休日を、それを着て出かけたいらしい。しきりとあまえかかる浜子に、音枝は気弱ながらもせい一ぱいの不きげんを顔にあらわして、

「いったけどさ、きょうはいやなんだけど。」

「どうして。」

「どうしてっていわれても、困るけど。あれ、わたしのいっちょうらよ。