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ざっき(いち)
雑記(Ⅰ)
寺田 寅彦
「中央公論」1922(大正11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,568 字 · 33 页
などよりむしろ「悪行デー」とでも名づくべきものが多かったような気がする。
田舎の農夫等が年中大人しく真面目に働いているのが、鎮守の祭とか、虫送りとか、盆踊りとか、そういう機会に平生の箍をはずして、はしゃいだり怠け遊んだりした。近年は村々に青年会などという文化的なものがあるからおそらく昔のような事は見られまい。また私の郷里では昔天長節の日に市の公園で「お化け」と称する仮装行列が行われた。これも真面目な勤勉な市民が羽目をはずして怠け巫山戯る日であった。これは警察の方でとうに制限を加えたようである。
どんな勤倹な四民も年に一度のお花見には特定の「濫費デー」を設けた。ある地方の倹約な商家では平日雇人のみならず主人達も粗食をしていて、時々「贅沢デー」を設けて御馳走を食ったという話もある。もっともこれは全く算盤から割り出した方法だそうではあるが。
「無礼講」という言葉が残っており、西洋でも「エプリルフール」という事がある。
あれほど常識的な英国にでもわれわれに了解の出来ないほど馬鹿げた儀式が残っているようであるが、それが今日では単に国粋保存というような意味ばかりでなく、つまり、常に常識的であるための「非常識デー」