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あめとこども

雨と子供

宮本 百合子

「読売新聞」1926(大正15)年9月22~24日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,204 字 · 7 页

青空文庫

十二の穴がちゃんと同じような間を置いて、縦に三つ、横に四側並ぶようにと、どんなに熱心に竹の棒で泥をほじくり廻しただろう! 根が入る位の大きさに穴が出来ると、一本ずつ青紫蘇に違いない木を植え込んだ。さあ、これで花壇が出来上った。――得意なのは子供ばかりではなかった。誰からも忘れられていたような空地も、その花も咲かないひょろひょろした花壇を貰って嬉しがっているようであった。

ところが二日ばかりすると、雨の日になった。きつい雨で、見ていると大事な空地の花壇の青紫蘇がぴしぴし雨脚に打たれて撓う。そればかりか、力ある波紋を描きつつはけ道のない雨水が遂にその空地全体を池のようにしてしまった。こんもり高くして置いた青紫蘇の根元の土でさえ次第に流され、これは今にも倒れそうに傾きかけるものさえ出て来た。――

私は小さい番傘をさし、裸足でザブザブ水を渉り花壇へ行って見た。保修工事が焦眉の問題であった。私は苦心して手頃な石ころを一杯拾って来た。傘は夙に放ぽり出し、土の流れを防ごうとして、一本一本根の囲りをこの小石で取繞んだ。が、瞬く間に情なしの広い空地の水は石をも越した。