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ゆきをつくるはなし

雪を作る話

中谷 宇吉郎

「東京朝日新聞」1936(昭和11)年9月17日、18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,931 字 · 6 页

青空文庫

片割れというのは、結晶を金属か木の面に凝結させて作るので、本当の雪の結晶の六本の枝の中二本か三本かが出来るのである。結晶形を論ずるだけなら枝が二本か三本あれば良いはずであるが、どうも六花の天然の結晶にそっくりの物を作らないと何だか気が済まぬような気もする。それで極めて細い毛の先にこの結晶を発達させることを助手のS君に頼んで置いた。

「人工雪 ×12.5」のキャプション付きの写真

人工雪 ×12.5

二、三日して「果して雪が出来ました」というS君の案内に急いで低温室の中へ入って見ると、なるほど兎の毛の先に六花の結晶が白く光っている。そっと取り出して顕微鏡で覗いて見ると、この出来立ての雪は天然の雪よりも一層の見事さである。

ここまで来ると、後の仕事は極めて順調に運ぶのである。水の温度を色々に変えて、水蒸気の供給を加減すると、それぞれに決った形の結晶が得られる。例えば水蒸気が多いと羽毛状に発達した繊細な結晶になり、中ほど位にすると綺麗な角板になる。そして思い切って水蒸気の供給を減らすと、極めて徐々に角柱状やピラミッド型の結晶が生長する。六角板の端々に羽毛状の枝の付いた結晶が天然にはよく見られるのであるが、このような結晶を作るには先ず初めに角板を作って置いて、それから急に水温を高めてその端々に羽毛状の枝を付けて行け