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ゆきま
雪間
久生 十蘭
「別冊文藝春秋 第五十六号」1957(昭和32)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,817 字 · 24 页
って言葉、知ってる?」
「知らないね」
「眩しさというものに極端に鋭感な状態……あたしもそうだったけど、滋野はライトにやられて、電気性眼炎というやつになって、失明する一歩手前まで行ったことがあるの。もう普通になったけど、なにかの拍子で強い光線にあたると、視界が暗黒になるようなことがあるので、クルックスの特殊ガラスのサングラスをいつも持って歩いていたわ」
「そうだったのかい。そんなものを掛けたところを見たことがなかったが」
「滋野は気取り屋だから、人にさとられないようにしていたらしいけど、この間、仙石原のゴルフ・リンクで西陽に向ってアプローチをしているとき、とつぜん羞明がはじまって、えらいミスをやったもんだから、笠原が感づいてしまったのね」
「それは君の想像なのか」
「想像でも妄想でもいいの……話の順序はこうなのよ。たぶん、あなた見られたと思うんだけど、霧の夜、玄関であたしと滋野が立話をしていたことがあったでしょう。滋野はゴルフ・リンクでクルックスのサングラスを失くしたもんだから、心配になってあたしのところへサングラスを借りにきたところだったの……あたしウルトラジンのサングラスを持っていたはずなんだけど、探しても無いもんだから、貸してあげることができなかったわ」