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くものわくころ

雲のわくころ

小川 未明

「小学六年生 5巻6号」1952(昭和27)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,198 字 · 11 页

青空文庫

」と、だれでも、その気さえあれば、なんでも実現されるのが、ゆかいでたまらぬというふうにおじさんは、ほがらかにいって、笑うのでした。

かれは、庭の花のお友だちである、美しいやまゆりの咲くところも見たかったし、また、おじさんが、谷川であゆを釣るのも見たかったので、つれていってもらうように約束しました。

そのときから、数日の後のことでした。

「勇ちゃん、いつも、家の前に立つと、西の方に、遠く、青い山が見えるだろう。この山なんだよ。」と、バスの窓から、だんだん近くにせまりつつあった、青々と林のしげる山をさして、おじさんはいいました。

勇吉は、なるほど、電車に乗り、またバスに乗ったりして、いつしか、遠くまできたものだと思いました。はるか下の方をのぞくと、大きな岩石にくだけながら、谷川が白くあわだって流れていました。

とうてい、町といわれそうもない、四、五軒ばかり店のならんだ、バスの停留場のあるところまできて降りると、その一軒には、パチンコの看板が、かかっていました。

「こんなところにも、パチンコ屋があるんですね。」と、かれは、おどろきました。だれが、こんなところへ遊びにくるのだろうと、想像がつかなかったからです。