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でんきかんばんのしんけい
電気看板の神経
海野 十三
「新青年」博文館、1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,480 字 · 29 页
と陳述した。清子、かおる、とし子の三人も知らないと、順々に答えた。
この訊問が終ったあとで、係官の間に、こんな会話が行われるのを聞いた。
「ふみ子の首の万創膏をとって見たが、穴が相当深くあいていた。沃度丁幾をつけてあるが、おできのあとともすこしちがうような気がするんだが、大学の鑑定事項の中へ、穴ぼこが意味する病名を指摘するように書き加えて置いて呉れ給え」
「不思議ですな、前の春江の場合にも、やっぱり首のところに万創膏が小さく貼ってあったじゃありませんか?」
「なに、それは本当か。――ウーンすると、ことによると犯行に関係ある穴ぼこかも知れない。だがそうなるとあの万創膏は犯人が貼付したことになるわけだ。さあ、失敗った。あの万創膏を捨ててしまった。あれを顕微鏡にかければ、たとえ犯人が手袋をはめてあれを貼りつけたものとしても、ゴムがペタペタしているために、手袋の繊維をすくなくとも数十本は喰わえこんでいる筈だ、それから手懸りが出るかも知れなかったのだ。莫迦なことをしてしまった」係長のなげきは、なかなか一と通りではないようにみえた。
もう一つの面白い事実は、ふみ子の死んだという日のお午下りに、岡安巳太郎が、ヒョックリとカフェの扉をおして入ってきたことだ。