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でんきかんばんのしんけい
電気看板の神経
海野 十三
「新青年」博文館、1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,480 字 · 29 页
したことにある。その部は、鋭い爪でひきさいたような形になって居て、尚そのうえ、皮膚と筋肉の一部に連続的な黄色い燃焼の跡のようなものがある。これはおかしいと更に解剖をすすめたところ、遂にふみ子の死因が、短刀による心臓部刺傷であると判断せられていたのは大間違いで、実は高圧電気による感電死であり、その高圧電気は、ふみ子の乳下と、万創膏の貼りつけてあった首の後部とに電極を置かれて放電せられたもので、相当強い電流が心臓を刺し其の場に即死をとげたことが判明した。この驚くべき事実が報告されてみると、警視庁では、第一の犠牲者の春江惨殺事件に於ても同様の手段がとられたものと確信をもつようになった。それは、春江の場合には頸部に、小さい万創膏が貼りつけられてあったのを覚えている係官が居たことから判って来たのである。ここに電気商岩田京四郎は非常な不利な立場となりカフェ・ネオンの頻繁な電気工事の詳細について手厳しい訊問が始まった。無論、女給殺しの電気は、何万ボルトという高圧電気を使っている三階のネオンサイン電気看板から、被害者の身体へ導かれたものであり、そうした思い付きや、高圧電気の取扱いは、岩田京四郎を除いて外の誰もが出来そうにないことから当然、二回に亙る電気殺人の犯人として彼が睨まれたのも致方ないことであった。