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でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
「新青年」博文館、1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 页
――紛れもなく、其処は女湯の天井裏だったのだ。
やがて、赤羽主任は、その節穴をふさいでいた血染めの栓を、吹矢の先に刺して懐中電灯の光を借りて、じいっと見つめた。それは、決して単なる木栓や、材木の節ではなく、実に巧妙に作り上げられた蓋様のものであった。そして、その金属の蓋の真ん中を打ち抜いて、円いセルロイドの小板が嵌め込んであるものであった。が、それも矢張り血潮に染っていた。
2
次から次へと、意外な事件の連続と、それにも増して奇怪な事実の発見に依って、居合せた刑事連は、ひとしく驚愕の眼を瞠った。が、誰よりも彼よりも、歯の根も合わない程愕いたのは、向井湯の主人であった。
自分の家の天井に、斯うした油断のならぬ節穴があったことさえ、夢にも知らない事であったのに、その上、誰が持ち込んだものか、望遠鏡やら、活動写真の撮影機やら、吹矢やら、またパンの欠片や蜜柑の皮といった食物まで運ばれていた――など、何が何やら、彼にとって薩張り訳の判らないことであった。しかも、日頃忠実であって、深い信頼を懸けていた由蔵が、僅々の時間に、場所もあろうにこんな所に屍骸と化して横っているとは!