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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

「スパイどもめ! こうなったら、ふくろのねずみもおなじことだ。さあ降参しないかっ」

と、おどりかかる憲兵隊に、さすがのスパイたちも、あれよあれよとさわいでいるうちに、しばりあげられてしまいました。

「あ、良太おじさん――」

と、ほら穴のおくから、こえをかける者がありました。

「おお、そういうこえは……」

と、良太おじさんがかけつけてみると、それはまさしく高一でありました。かわいそうに、太いなわでぐるぐるまきにされ、牢のようななかにころがされていました。

なわをとこうとすると、高一は頭をふって、おくをむき、

「お父さまがいるはずです。はやく助けて……」

「ばんざあい」

と、大きなこえがおこりました。どうなったかと心配していた高一少年や、高一のお父さまで、お国のためはたらいている秋山技師の二人を助けだすことができたし、そのうえスパイ団のわる者も、おおぜいつかまえることができたのですから、大手がらでした。

「へんだなあ――」

良太おじさんが、首をかしげました。

「なにがへんなのですか」

「だって、電気鳩が、このほら穴にとびこむところをみたのに、いまこうしてさがしてみてもいないじゃないか」