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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

「ちえっ、ざんねんだ。もうひといきでつかまるところだったのに」

憲兵さんたちは、たいへんくやしがりました。高一もざんねんですが、はしごがなければのぼれないところだからしかたがありません。

こうして、電気鳩と、黒い箱をせおったスパイの団長とは、どこかへにげてしまいました。

その後、電気鳩はどこへいったものか、いっこうにみかけませんでした。

高一の鳩たちは、またもとのように小屋のまわりに、たのしくあそぶようになりました。

高一のお父さまも安心して、あらためて、大事なご用の旅におでかけになりました。

そのうちに、鎮守さまの秋祭の日がきました。いろいろの見世物やおもちゃの店がでて、たいへんなにぎわいです。高一は、ミドリをさそっておまいりにゆきました。

やしろの前にならんだ二人は、ふといつなのついた鈴を、がらがらとふってお父さまが、ぶじにおかえりになるようおいのりをしました。それがすんでから、高一は、ミドリにいいました。

「ねえ、見世物のほうにいってみようよ」

「兄ちゃん、あれがおもしろそうよ」

と、ミドリがゆびさしたのは、たくさんの見世物のなかにまじって、「ぽっぽ座」