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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

そのうちに、たるは、どすんとかたいものの上におかれました。それから、つぎつぎに、どすんどすんと、ほかのたるがおかれるようすです。

やがて、がたんという音とともに、たるをのせたトラックは走りだしました。

「どこへつれられてゆくんだろう。ミドリは、どうしているんだろう」

と、高一は、たるのなかにゆられながら、それを考えていました。

一粁も車が走ったかとおもうころ、車のうえがさわがしくなりました。

「おや、あの犬は、この車をおっかけてくるんじゃないか」

「うん、小僧がいるのをかぎつけたんだ」

「めんどうだ。ピストルでうってしまえ」

「まてっ、ピストルの音をきかれたらどうするのだ。石ころをなげつけてやれ」

えいえいと、石ころをなげるこえがします。

わわわわ、わんわん、とはげしい犬のなきごえが、車をおってきます。

「あっ、あのこえはマルじゃないか」

忠犬マルは、一生けんめいに、高一をさらってゆくトラックをおいかけてくるのでありました。

どうして、それを知ったのでしょう。そのわけは、鳩のハグロが、マルを案内して、ここまでおいかけてきたのです。

わわわわ、わんわん。

「石ころじゃだめだ。