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でんきばと
電気鳩
海野 十三
「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页
どうやら、れいの貨物船は、日本軍艦の砲弾にあたってしずんだようすです。だからわる者たちは、ボートにのってにげてきたのでしょう。
「ああ、かわいそうな妹……」
ミドリは、兄の高一が山の上から見ているともしらず、しょんぼりとして、わる者たちに手をひかれていました。村の見世物小屋からさらわれたままのすがたです。団長は、このかわいそうなミドリを、どうしようというのでしょうか。高一はすぐにもとんでいきたいきもちでしたが、そんなことをすれば、またいっしょにつかまると思って、がまんしました。
高一はすき腹をかかえて、夜をむかえました。わる者たちの方は、海べりにテントをはり、さかんに火をもやして、なにかうまそうなたべ物をにているようです。
高一は、うら山からぬけだすと、そっと、テントの方へおりてゆきました。さいわい、たれにも見とがめられずに、テントに近づくことができました。
「団長、こんな足手まといの娘なんか、ひと思いにころしてしまった方がいいじゃないか」
たれかが、おそろしいことをいっています。
「ばかをいえ。お前にはまだわからないのか。この娘をつれていって父親をせめりゃ、こんどこそは、日本軍の一番だいじにしている『地底戦車』