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れいかん
霊感
豊島 与志雄
「中央公論」1952(昭和27)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,268 字 · 31 页
そのうちの一軒が、村尾さんの婿の今井さんの家です。
今井さんは、自分の家を建てるに当って、丹念に設計図を吟味しまして、迷信家ではありませんけれど、鬼門とか裏鬼門とかその他の方位についても、よろしくないとされてる世間的通念は避けたのでした。
そして家が出来上ると、田舎の方にいた母親を引取りました。その母親が、軽い脳溢血で寝込みました。これはやがて快方に向いましたが、今度は、女の児が耳の病気で病院にはいりました。これもやがて恢復しましたが、次には、妻が胸を病んで、未だにぶらぶらしてる始末です。
病気とか災難とかが重なることは、人生にしばしばあるもので、今井さんの家の事態も、そう簡単に片付けてしまえば、それで一向差支えないのですけれど、思いようではやはり気にかかります。
それからふと思い廻してみますと、そこの分譲地に建ってる六軒の家に、みな、ろくなことはありませんでした。一軒は、夜盗がはいって、奥さんの衣類をごっそり持ってゆかれました。一軒は、娘さんが虚弱で、学校も休みがちでした。他の三軒には、みな、肺を病んでる女人がありまして、今井さんとこと同様なのです。