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あおいランプ
青いランプ
小川 未明
「週刊朝日 17巻7号」1930(昭和5)年2月9日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,233 字 · 13 页
いつも、暗い、ものすごい海の方を見て考え込んでいました。「どこか、あちらにみんなの知らない国があるにちがいない。また、発見されないような島があるにちがいない。それには、もっといい船を造って、探検に出かけることだ。」などと考えていました。
ある日、海の上が、たいへんに荒れました。
「こんな日に、沖へ出ているような船はないだろうな。出ていたら、助かるまい。」と、お父さんは、まゆをひそめてながめていました。
いつしか、あらしのうちに日は暮れてしまいました。夜になってから、ますます沖は荒れ狂って見えました。このとき、一つ真っ暗な海の上に、赤い火が見えたのであります。その火は大きな波にもまれて、おどっていました。
「火が、火が、この大あらしに、船がなやんでいる。どこの船だろう……。」と、お父さんは、窓に立って見ながら気が気でありませんでした。しかし、この海岸で、船を出そうというような人を、さがしてもどこにありましょう?
「あれ、あれ。」といううちに、その赤い火は見えなくなってしまいました。まったく大きな波に呑み込まれてしまったものと思われます。そして、あとは、ただ波の音と風のさけびと雨の吹きつける声がきこえるだけでありました。