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あおいとけいだい

青い時計台

小川 未明

「処女」1914(大正3)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,476 字 · 7 页

青空文庫

どうしてあの人々は、ああして楽しく遊んでばかりいられるのだろう……と、思うと、なんとなく、不思議でならなかったのであります。

その後というものは、毎夜、さよ子は町の方から聞こえてくるよい音色を聞くたびに、不思議な思いをせずにはいられなくなりました。

やがて、紅く燃えていたような夏が逝きかけました。つばめは海を渡って、遠い南の永久夏の国に帰る時分となりました。ある夜、さよ子は二階の欄干に出て、涼しくさえた星の光を見ながら、町の方から聞こえてくる、よい音色に耳を澄まそうとしたけれど、どうしたことか、聞き慣れたその音色は聞こえてこなかった。明くる日もやはり聞こえてこなかった。

さよ子は、いぶかしく思って、その町にやってきました。すると、その家は堅く閉まって、店頭に売り家の札がはってありました。独り、高く時計台は青く空に突っ立って、初秋の星の光が冷たくガラスにさえかえっていました。