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あおいふろしきづつみ

青い風呂敷包

大倉 燁子

「キング 一三巻四号」1937(昭和12)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,612 字 · 28 页

青空文庫

杉村は驚いて椅子を離れ、係長に会釈して、

「では、ちょっと、行って来ます」と云って、室を出ようとすると、出合頭に山本桂一が顔を出して、

「川口氏は只今息を引取りました。杉村さん、これでこの事件もやっと片附きましたね」と晴々した顔で二人の方を見て、

「謎の鍵を掴んでいたのは、川口氏でしたから――」

係長と杉村は顔を見合せたまま、黙っていた。山本は言葉を続けて、

「杉村さん、川口さんは今朝未明に入院したのだそうですよ」

「えッ、何だって?」

杉村は吃驚して訊き返した。病院に問い合せた時、確かに入院している、今、手術を終ったばかりだから、面会謝絶であると答えたので、それなり電話を断り、何日に入院したかという事はたしかめなかった、何という失策だったのだろう。

「川口氏はこの春も盲腸炎で入院したことがあるそうです。その時、再発したら直ぐ手術してくれと院長に頼んであったのです。だから突然飛び込んで来ても、別に怪しみもせず、早速手術室に伴れて行ったのでしょう。生憎院長はまだ来ていなかったので、外科の若い医者が代理に手術を行ったのだそうです」

「院長と故川口博士とは非常に親しかったそうだからね、その息子だ、それ位の我儘は許していたかも知れないな」