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あおいふろしきづつみ
青い風呂敷包
大倉 燁子
「キング 一三巻四号」1937(昭和12)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,612 字 · 28 页
「誰か早く、――交番へ行って、訴えて来てくれませんか」
パジャマを着た一人の学生は、交番へ宙を飛んだ。
急報に接して、警視庁からは係長が若手の敏腕家杉村刑事を伴れて馳せ付け、そこにいた山本桂一に事の顛末を聞いてから、杉村を顧みて、
「君、風呂敷を開けてくれ給え」と云った。
青い風呂敷づつみは四隅をまとめ、それを一本の強い麻縄で厳重に括ってあった。杉村は最初ナイフでその縄を断ろうとしたが、何を思ったのかそれを止めて、丹念に結び目を調べながら、十分間もかかって漸と解いた。中からは血だらけの男が現われた。手足を縮め、俯伏せに丸くなっている、体をひき起してみると、短刀が、グザと胸に突き刺してあった。折り曲げた左手に桃色のリボンをしっかりと握り、それをまるで抱きしめてでもいるように胸に押し当てている、リボンは一尺余りの繻子地であった。
杉村は頭を、山本は足を、二人で持ち上げ死体を赤い友禅の蒲団の上に横えた。それはいかにも醜い顔の二十五六の男であった。
「アッ! ゴリラ――」
小さい叫び声と共に初子はよろよろと倒れかかり、管理人の腕に獅噛みついた。人々の眼は彼女に集った。