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『しゅっけとそのでし』のついおく
青春をいかに生きるか
倉田 百三
倉田百三『青春をいかに生きるか』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『出家とその弟子』の追憶、愛の問題(夫婦愛)、学生と教養、学生と生活、学生と先哲、学生と読書、女性の諸問題、人生における離合について、婦人と職業、芸術上の心得。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,413 字 · 190 页
コーヘンの『純粋意志の倫理学』と、ギヨーの『義務と制裁のない倫理学』とを比較するならば、その個性の対比は文芸作品の個性の差異の如くいちじるしい。所詮倫理学は死せる概念の積木細工ではなくして、活きた人間存在の骨組みある表現なのである。この骨組みの鉄筋コンクリート構造に耐え得ずして、直ちに化粧煉瓦を求め、サロンのデコレーションを追うて、文芸の門はくぐるが、倫理学の門は素通りするという青年学生が如何に多いことであろう。しかしすぐれた文学者には倫理学的教養はあるものである。人間の教養として文学の趣味はあっても倫理学の素養のないということは不具であって、それはその人の美の感覚に比し、善の感覚が鈍いことの証左となり、その人の人間としての素質のある低さと、頽廃への傾向を示すものである。美の感覚強くして善の関心鈍きとき、その美は感覚的の美とならざるを得ない。したがってかかる人の文芸の趣味はまた高い種類のものとは想像出来ないのである。リップスの『美学』を読むものはいかに彼の美の感覚が善の感覚と融合しているかを見て思い半ばにすぎるであろう。しかし生を全体として把握しようとするわれわれの目から見るとき、かくの如きは当然のことである。