轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいしゅんろん
青春論
「文学界 第九巻第十一号、第十二号」1942(昭和17)年11月1日、12月1日発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,657 字 · 69 页
そこで寺の住持があなたは何処の何人であるかと尋ねてみると、老婆は一首の和歌を誦してこの歌がお分りであろうか、と云う。生憎この和歌を僕はもう忘れてしまったが「水はぐむ」とか何とかいう枕言葉に始まっていて、住持にはこの枕言葉の意味が分らないのである。この和歌にも相当重要な意味があった筈であるが、然し、物語の中心そのものではないのだから勘弁していただきたい。そこで住持が不思議に思って、この枕言葉は聞きなれないものであるが、いったいどういう意味があるのですかと尋ねた。すると老婆が答えて言うには、その意味が知りたいと仰有るならば何とか河(これも忘れた)のほとりまで御足労願いたい。自分はそこに住んでいるから、そのときお話致しましょう、と帰ってしまった。翌日(ではないかも知れぬ。もともと昔の物語は明日も十年後もありゃしない)住持は何とか河のほとりへ老婆を訪ねて行ってみた。と、なるほど、一軒の荒れ果てた庵があるが、住む人の姿はなく、又、人の住むところとも思われぬ廃屋である。と、姿のない虚空に老婆の恐ろしい声がして、いざ、私の昔を語りましょう、と言い、自分は、昔、都に宮仕えをして楽しい青春を送ったもので、昨日の和歌は自分の作、新古今だか何かに載っているものである。