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めんかい

面会

織田 作之助

「大阪銃後ニュース第十号」1940(昭和15)年7月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,771 字 · 4 页

青空文庫

を惜しんでいた。まるで洪水のような見送人の群で、傘、傘、傘、人、人、人の隙間を縫うて、私はSの姿を探し求めた。あちこちに××隊と書いた標識の棒が立っているのだが、墨が雨に流されて、字が判別しかねた。空しく探し求めていると、だんだんに私は胸騒ぎを覚えた。Sも私を待ち焦れているだろうと思うと、胸騒ぎは一層激しくなった。いつか私はびしょ濡れになりながら、広場のあちこちを駆けずり廻り、苦しいまでに焦燥を感じた。Sはどこにいるのだろう。私は人一倍背が高く、つまりノッポの一徳で、見通しの利く方なのだが、沢山の傘に邪魔されて、容易にSの姿が見つけられなかった。

私はいきなり、×××××はどこにいるかと、思わず大声でSの名前を呼んだ。咄嗟の智慧でもあり、また焦燥からでもあった。途端に、此処だアと、聞覚えのあるSの声がした。嬉しそうな声だと、私もまた嬉しくきいて、夢中で声の方へ駆け寄った。雨が眼にはいって、眼がかすんでいたが、それでも日焼けしたSの顔ははっきりと見えた。Sは銃につけ剣して、いかめしく身構えて、つまり見張りの役をしていたのだ。ほかの兵隊達は皆見送人と、あちこちに集いながら団欒しているので、自分がその見張りの役を買っているのだと、彼は淋しい顔もせずに言った。