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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
06 三人目
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,248 字 · 27 页
……おい、ひょろ松、これから棺桶の取戻しだ。おまえもいっしょに来い……といって、駈け出したんじゃ間にあわねえし、町駕籠でも精がねえ」
ふと向いの邸に眼をつけると、膝をうって、
「うむ、いいことがある」
ちょうど真向いが、石川淡路守の中屋敷、顎十郎は源氏塀の格子窓の下へ走って行くと、頓狂な声で、
「誰か、面を出せ……誰か、面を出せ」
と、叫び立てる。
声に応じて、陸尺やら中間やら、バラバラと二三人走り出して来て、
「よう、こりゃア、大先生、なにか御用で」
「これから、亡者を追っかけて冥土まで、……いやさ、日暮里まで行く。……早打駕籠を二挺、押棒をつけて持って来い。……後先へ五人ずつ喰っついて、宙を飛ばして行け。棺桶は、もう一刻前に芝を出ている……合点か」
「おう、合点だ……たとえ、十里先をつッ走っていようと、かならず追いついてお目にかけやす、無駄に脛をくっつけているんじゃねえや」
切れッ離れのいいことを言っておいて、中間部屋のほうへ向って、大声。
「それッ、大先生の御用だ、早乗を二枚かつぎ出せ」
たちまち、かつぎ出された二挺の早打駕籠。
「しっかり息綱につかまっておいでなさいまし……口をきいちゃアいけませんぜ。