轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
09 丹頂の鶴
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,040 字 · 26 页
いわば、お互いのこと。うしろ暗いことなどいささかもあるまい」
「それが、今度は、そういうことにはなりません」
「なんと申す?」
「実は、仙波阿古十郎が、四五日前から行きがた知れずになっております」
「なに!……仙波が……」
「四五日前、大利根すじへ寒鮒を釣りに行くといって、フラリと出かけたまま、今日にいたるまで消息がございません」
「おッ、それは!」
「正午ごろから、北町奉行所ではひっくりかえるような大騒ぎ。さっそく御蔵河岸から早船を五艘、突っこみにして利根すじへのぼらせましたが、ひとくちに利根と申しても広うございます。安房におりますものやら、上総におりますやら、とんと見当がつきません」
「これはしたり」
「何しろ、有名の風来坊、気がむけば、風呂屋からその足で長崎まででも行きかねないやつ。はたして神妙に釣などしているのかどうか、その辺のことさえ、さだかじゃございません。……運よく、北浦か佐原あたりでとっつかまえたといたしましても、こちらへ帰りつきますのは、早く行って明日の夜あけ。お仮屋前でお出迎いするのが、やっとというところ」
「いかにもの」
「叔父の森川庄兵衛ののぼせかたは申しあげるまでもございませんが、播磨守さまのご心配はまた格別。