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かぜにのってくるコロポックル

風に乗って来るコロポックル

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,458 字 · 39 页

青空文庫

一生懸命になって、聞いただけの昔話の中から、声ばかりの化物に就ていってあるのを漁り始めたのである。

考えて考えた末、彼はとうとう、子供の時分父親から聞かされた、コロポックルという小人の話を思い出した。

七

イレンカトムが、父親から聞いた話と思い合わせて見ると、自分に掛るものは、どうしてもコロポックルという、小人らしい。

何故なら、その小人はいろいろな術を知っていて、姿を隠した声ばかりで、人(アイヌ)のところへ訪ねて行ったりしたということも同じだし、自分の父親の友達だった者の名や、役人の名等を覚えて、それに就ていう処を見れば、どうしても古いときからいる者だということが分る。

それに、ああやって風に乗って飛んで来るようなことは、決して体の大きな者共に出来る芸当ではない。

まして、Y岬の近所に、元コロポックルが棲んでいたという穴居の跡が在るのを知っているイレンカトムは、自分のその判断が、決して理由のないことではなく思われる。

きっと、コロポックルに違いない、とその次から注意すると、ちゃあんとその声は、自分達は背丈の短かいコロポックルだと云い始める。