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かぜにのってくるコロポックル
風に乗って来るコロポックル
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,458 字 · 39 页
一年一年と、感情の育って来る彼は、或るときは無意識に、或るときは故意に、思い切ったいたずらをしては、その結果はより一層深い、イレンカトムの愛情を煽るようなことを遣った。
生れ付きの向う見ずな大胆さと、幾分かの狡猾さが、彼の活々とした顔付と響き渡る声と共に、イレンカトムに働きかけるとき、そこには彼の心を動かさずにはおかない一種の魅力があった。
知らないうちに蒔かれていた種は、肉体の発育と同じ速力で芽をふいて来たのである。
畑の手伝いでもさせようとすると、
「お父(と)、俺ら百姓なんかんなるもんか!
うんだとも。俺あ、もっともっと偉れえもんになるだ!」
と云いながら、泥まびれになっている親父の顔を、馬鹿にしたような横目でジロリと見る。するとイレンカトムは、曖昧な微笑を浮べて、
「ふんだら、何(あん)になるだ?」
と訊く。豊は、大人のようにニヤリとする。
そして、
「成って見ねえうちから、何(あん)が分るだ? 馬鹿だむなあ、お父(と)おめえは!」
という捨台辞(すてぜりふ)をなげつけて、切角立てた畦(あぜ)も何も蹴散(けち)らしながら何処へか飛んで行ってしまう。
「すかんぼう」