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ふうりゅう
風流
「新潮 第四八巻第十三号」1951(昭和26)年12月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,419 字 · 19 页
そして私はまた呟くのだ。
「要するに、こうなったにしても、今の庶民生活と同じことじゃないか。文化も、心境も、まったく変りゃしない」
そして私は秋の旅先で、この「心境」という言葉について考えた。
*
日本の風流というものは、当人の心境の解説がなくては成り立たないのではなかろうか。心境とは何ぞや。要するに、芸術にとっては存在する筈のない「国境」のことなのである。異国人の越えがたい国境だ。
私は十何年か前に、龍安寺の石庭を見たとき、この秋の旅先で感じたように、心が重く暗くなった。悲しいものを見てしまったと思ったのだ。寝ころんでタバコをくわえながら空を眺めたり、仔犬と遊んだり、キャッチボールをすることもできやしない。なんて窮屈なんだろう。そして、そこに重々しく表されているものは、そのもの以外を否定している心境であった。
戦争の前まで、日本の公園の広々した芝生の幾つかは立入り禁止であった。人間は広い芝生を眺めるだけで、定められた道を歩くことしかできなかった。日本の庭の多くはそうである。庭下駄をはいて、敷石の上だけ辿らなければならない。
彼らの造庭の流儀で云うと、人間どもがどこもかしこも自由気ままに歩いてはいけないのである。